簸の河の夜  詩:n uma 編曲:n uma

櫛名田比売命(くしなだのひめのみこと)は眠れない
夜な夜な娘が 食べられてゆく

八つの頭の 這いずる音が
あの山 かの山 びたん、びたん、と

足名椎(あしなずち)も手名椎(てなずち)も
泣いて腫らす
簸の河(ひのかわ)の夜

わたしの味は 美味しいのかしら?

鬼灯(ほうずき)の赤にも似た眼と
お腹は穢れ(ケガレ)に塗(まみ)れている

八塩折(やしおり)の酒を呑んで
二日、三日と酔い尽くす

天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)でもあればな

遂に独りきりになったな
八重垣(やえがき)の奥に 篭ろうかな

白馬もなく タイツもなく
八束鬚(やつかひげ)の男でも

わたしを助けてくれたらいいのにな



2010年6月頃作成
大好きな「古事記」から。スサノオノミコトが神様たちの世界で乱暴の限りを尽くして、お姉ちゃんである「アマテラス」を怒らせちゃって地上に天下るんだけど、その道中で「クシナダヒメノミコト」って娘が「ヤマタノオロチ」っていう怪物に食べられるってんで「よっしゃやったるか」って一念発起して娘を助けちゃう話を唄にしました。
なんか、奪われた姫を助けに行くみたいな感じで、それまで「泣き虫で乱暴者」だったスサノオが急に英雄扱いになるのも面白いなぁって古事記読んでて思います。ジャンプみたいに「このキャラいいやつにしましょうよ。読者に人気あるし。」って裏話があったりしてね。
詩をかいてて思ったのは「やっぱ日本語ってきれいで独特な表現が多いなぁ」ということ。「鬼灯」で「ほうずき」とか、「八束鬚」を「やつかひげ」とか。メロディラインは思いのほかエスプリが効いていると思います。
唄い方はフランク・シナトラをイメージしてます。